憲法25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定し、これに基づいて創られた制度が生活保護制度です。
この生活保護制度は健康で文化的な最低限度の生活を営むことが出来ない国民が利用することが出来ます。
1 生活保護の種類
生活保護法第11条1項は、生活保護の種類として次のものを規定します。
- 生活扶助(収入が最低生活費に届かない場合の不足額を扶助する給付)
- 教育扶助
- 住宅扶助
- 医療扶助
- 介護扶助
- 出産扶助
- 生業扶助(生計維持のための小規模事業に必要な資金や器具等、技能習得経費、就職のための洋服等の支度被などの給付)
- 葬祭扶助
そして、この扶助は利用者がどのような扶助を求めているかに応じて必要な限度で利用することが出来ます(同条2項)。
2 申請の方法
生活保護制度は要保護者(現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者)からの申請に基づいて、福祉事務所による調査を経て利用が開始されます。このように、生活保護制度はあくまで申請に基づく保護のみであり、必要とする方であっても、申請をしない限り、保護が開始されることはありません。ただし、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことが出来ます。
3 申請の場所
住所地を所管する各福祉事務所が担当となっています。
4 申請の条件
生活保護は、申請者のみを保護する制度ではなく、申請者の世帯単位で保護する制度です。そのため、世帯全員で、その利用しうる資産や能力等を活用しても生活に困窮することが要件となっています。
①資産の活用
資産とは、預貯金や不動産、自動車等の財産のことです。生活に利用していない不動産等があり、これを売却して、資産を形成することが出来るのであれば、売却して生活費に充てることが原則であり、それでも生活費が賄えない場合において、生活保護制度を利用できます。
②能力の活用
勤労能力がある方については、まずは働いて給与を受けて生活することが前提となります。そのため、何らかの理由で働くことが出来ないといった事情が必要となります。
もっとも、若く就労能力がありそうに見えても、求職活動の末、仕事が見つからない場合や、努力しても給料の高い仕事に就けない場合もあります。こうした場合において、最低生活費を超えない収入等しかない場合には、生活保護制度を利用できます。
③その他の施策等の活用
年金や手当等、他の制度で受給できるものがあれば、まずそれらを活用することが前提となります。